航空留学に関するご質問にQ&A形式でお答えします。
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航空留学QandA

Q.パイロットや航空整備士のライセンスシステムにおける日/米の違いについて教えて下さい。

(2005年1月18日加筆訂正)
A.パイロットのライセンス(技能証明)をわかりやすくご説明するために自動車の運転免許で例えれば、「1種免許」である「自家用操縦士」、「2種免許」である「事業用操縦士」、そして「路線運転士(というのは自動車の世界で存在しませんが…)」ともいうべき「定期運送用操縦士」の各ライセンスにまず分類されます。 さらにこれらが「航空機の種類(飛行機・ヘリコプター・グライダー・飛行船)」によって分類され(これは自動二輪・普通自動車などという分類と同じです。)、そしてまたさらに「航空機の等級(陸上単発・陸上多発・水上単発・水上多発など)」や型式によって分類されています。(これも自動二輪の小型・中型・大型などというのと同じです。)

アメリカでは、「自家用操縦士」の下位にさらに「リクレーショナルパイロット(※)」という資格を設けており、少しでも多くの人が航空機の操縦を楽しめるように配慮がなされています。

※リクレーショナルパイロット…最大で定員4名の航空機まで操縦でき、パイロット自身を含めて2名までしか乗せられないなど、いろいろ制約が付きます。(自家用目的の「原動機付自転車」のような資格に位置するものとお考え下されば「当たらずとも遠からず…」です。)

航空機の種類や等級における考え方は日本とアメリカではかなり異なります。 日本では「気球」や「ジャイロプレーン」を正規の「航空機」として認めていませんが、アメリカでは「気球」を操縦する人も正規の「パイロット」です。

※ジャイロプレーン…外見上はヘリコプターのようですが実はメインローターが動力系統とはまったく連結されていない航空機で、プロペラの推進力で前進することによってメインローターに風を受け、これを「オートローテーション」状態にすることで揚力を発生させます。

日本とアメリカとの間では、例えばセスナ機など小型飛行機のパイロットの場合にはほとんど大差ありませんが、ヘリコプターパイロットの場合、日本では機体の重量・エンジンの種類(ピストン/タービン)・エンジンの数(単発/多発)などによって操縦できる機体の範囲が細かく定められているのに対し、アメリカでは、1機種を操縦できれば資格上はほとんど全機種のヘリコプター(全備重量が5.6トンを超えるものについては「型式」毎の限定となります。)を操縦することができます。 例えば、単発ピストンヘリコプター「R22(定員2名)」で実技試験に合格すれば、双発タービンヘリコプター「S76(定員12名)」であって操縦できるということです。

また航空整備士の場合、アメリカでは「A&P(Airframe & Power Plant Mechanic)」という資格でもってほとんどすべての航空整備関連業務(旅客機からヘリコプター、グライダーまで)に従事できることになっているのに対し、日本では航空機の重量などによって「業務範囲」が分けられています。

つまり、日本の現行法下では、パイロットがタービン多発の「S-76」を操縦できても、ピストン単発の「R22」を操縦することができず、また、ジャンボジェットを整備できる一等航空整備士であっても、小さなヘリコプターが整備できないということになっているのに対し、アメリカの資格体系はかなり「融通」が利いているといえます。 アメリカでは航空当局がひとたびライセンスを発行する限り、そのライセンシーの「安全意識」や「良心性」、そして民間航空のマーケット自体に内在する「自立安定機能(すなわち放っておいてもきちんと進むべき方向に進むということ)」ともいえるものを基本的にまず信頼してかかる…ということからスタートしており、このことこそは、日本政府になかなか真似ができないことなのかもしれません。

また、アメリカでは飛行経験の浅いパイロットが高価な上級機を操縦する場合、それを法律で規制するのではなく、実は保険会社などがそのリスクをコントロールしている、ということが挙げられます。 つまり、一定水準以上の経験・能力に達しているパイロットでない限り、もし事故を起こしても保険金が支払われないような規定になっているのです。

尚、現行法下ではアメリカなど、ICAO(国際民間航空条約機構)加盟国で取得した自家用ライセンス以上の資格はすべて日本の自家用ライセンスに書き替えが可能(日本国内で「法規」の学科試験に合格する必要があります。)ですが、日本の事業用ライセンスを取得するにはこれら海外で得た知識・技能をもとに国内で追加トレーニングを受け、新たに学科・実技試験とも受験する必要がありますので念のため付け加えておきます。


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