航空留学に関するご質問にQ&A形式でお答えします。
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航空留学QandA

Q.自家用操縦士ヘリコプター(回)コースにおいて、タービン機とピストン機のコースではどちらを選ぶべきですか?

A.アークEFIでは、ヘリコプターの自家用ライセンスはまず「ピストン機」で取得すること、それもできれば「水上機()」で取得することをお勧めしています。

※実はアメリカなどにおいて、ヘリコプターの「水上」限定という資格は存在しないのですが、「水上機」とされる機種(例えば「R22マリナー」や「R44クリッパー」など)でウォーターオペレーションの課目を実施して実技試験に合格すると、日本の資格への書き替えの際、ありがたいことに「陸上」限定も同時につけられることになっているのです。 この「水上機」の効用については別段のご説明といたします。

現行のJCAB/日本航空局 の規定でみる限り、FAA/アメリカ連邦航空局 の自家用操縦士(回)実技試験をまず「タービン機」で受験してこれに合格した場合、そのライセンスを日本の資格に書き替えた後に引き続いて日本の事業用実技試験を「ピストン機」で受験、これに合格することにより、その合格と同期して自家用操縦士の「タービン機」限定資格が日本の事業用操縦士の「タービン機」限定資格として、自動的に「持ち上がる」というメリットを受けることができます。(但し、最大離陸重量が3,180kgを超えるヘリコプターに係るJCAB事業用操縦士試験ではこの「持ち上がり規定」は適用されず、その型式ごとに実技試験に臨まなければなりません。)

しかしながら、その「メリット」を受けるためには、あくまで資金面などで問題がなく、日本の事業用ライセンスまでのトレーニングを途中で休止することなく一貫して修得可能である、ということを前提にすれば…ということをまずよく認識してからかかる必要があります。

1.FAA自家用ヘリコプターコースでタービン機を使って実技試験を受けるためには、その修了までに少なくともタービン機による約10〜20時間程度の飛行時間が追加となることが見込まれます。 この飛行時間はアメリカでも日本でもあくまで「同乗教育時間」としてカウントされ、「機長(PIC:Pilot in Command)」としての飛行時間にはならないため、少なくともライセンス取得のためのトレーニングであることを第一の前提とする限りは、この部分は結果として「死に時間(受験資格要件達成のためには役立っていないという意味)」となってしまいます。 日本の事業用実技試験受験のためにはこのPICタイムが最低35時間、FAAの事業用実技試験受験では最低100時間消化されていることが要求されているのです。

2.タービン機に係る資格部分のみ拡張(限定変更)することは、たとえ日本の事業用実技試験の合格後であっても海外で比較的簡単にできます。 FAAかJCABの自家用回転翼 陸上単発ピストンの資格をお持ちの方であれば、現地訓練費トータル約850,000円(2006年8月1日現在。 機種はB206かMD500を使用し、航空券・海外現地滞在費など、直接的な訓練費以外の周辺諸経費を含みません。 為替レートなどの要因によって変動します。程度の費用+約1週間の期間でもって陸上単発タービンの限定変更が可能です。 したがって、この部分の資金需要は先送りしても何ら支障はないものと考えられます。 例えば、近い将来、日本の航空法が改定され、現在のアメリカのように「全備重量が12,500ポンド(約5,600kg)を超える大型のものでない限り、ヘリコプター全機種について同一の操縦資格で飛行可能」というような規制緩和策が実施されないとも限りません!

3.FAA自家用ヘリコプターコースを修了し、仮にその後のご本人を取り巻く日本での環境が思わしくなくなった(事業用課程の断念など)ような場合、通常は日本国内各地のフライトクラブなどで飛行経験を積みながら次なる展開を模索されるのが一般的ですが、もしタービン機で取得したFAAの資格を日本の資格に書き替えた場合、その方はピストン機では「無資格」なので、当然ながら、タービン機でのみ「PIC:機長」タイムを積めることになります。 しかしながら、この段階でタービン機のPICとして運航に従事できるような環境に恵まれることは、タービンヘリのオーナー関係者など特別な立場にある方以外はきわめて稀で、たとえヘリの事業運航会社に時間あたり何十万円かを支払って、タービン機でのトレーニングを積んだとしても、その機体はあくまで「事業機」として登録されているため、その方がPICタイムを増やす目的で利用することはできません。 その点、ピストン機の限定があれば比較的融通が利いて、有利にPICタイムを稼ぐことができるのです。

4.就職先が絞られてきた段階で、例えばその会社が「タービン多発(AS355などの軽双発)」の操縦資格を要求しているような場合、既に「タービン単発」の資格を取得してしまっている人はせっかく初期の段階で先行投資して獲得したライセンスを活かせないことになり、しかも前述のような事情からPICタイムが極端に少ないことが考えられるため、資格の限定を新たに変更(拡張)するチャンスが限られてきます。 この場合はオーストラリアの法律システム(「型式限定方式」による実技試験の実施)によってそれをカバーすることもできますが、基礎トレーニングを既にアメリカで受けている人にとっては「新たにベースを変える」というストレスを伴うこともまた考慮する必要があります。

こうしたことから、FAA自家用ヘリのライセンスをタービン機で取得する、ということの意味を、それを取り扱う「業者」側の立場から捉えると、「FAA自家用からJCAB事業用操縦士コース修了まで、そのクライアントさんが途中で一般の自家用運航などへ逃げてしまう(??)ことのないようにつなぎとめておく…」という「思惑」が絶対にないとは必ずしもいえないかも…しれません。


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