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航空留学QandA

Q.「航空英語能力証明」とは何ですか? またこの資格がなくても航空留学は可能ですか?

(2011年2月8日更新)
A.航空局(JCAB)が実施している「航空英語能力証明」の資格とその試験についてご説明します。 一方の航空留学との関連については、結論的に無関係であり、この資格がなくても海外での操縦士ライセンス取得プログラムや運航の実施自体に何ら影響はありません。

航空業界においてかねてより懸案であった、英語を母国語としない操縦士の英語力の問題に対し、ICAO(国際民間航空条約機構)が国際的な能力評価のための基準を提示、日本の航空局もこれに準拠した資格制度(航空英語能力証明)を平成18年度にスタートさせました。

対象者は国際運航(日本〜海外、海外〜海外)に従事する機会のある定期運送用から自家用までの操縦士全般(飛行機と回転翼航空機に限定)となっています。

ICAOではその基準レベルを6段階(1.準初級、2.初級、3.準実用、4.実用、5.上級、6.エキスパート)に分け、そのうち上位3レベルに限って「有効」と認め、下位の3レベルは実質的に英語圏での運航について有効性を認めない(かつてのFAA基準における「イングリッシュリミテーション」がライセンスに付されたような状態であると考えられます。)方針を打ち出しており、さらにその「評価(資格)」の有効期限について、最上位の「エキスパート」レベルを無期限、次に優秀な「上級」レベルを6年間、その次の「実用」レベルを3年間有効として規定しました。

一方の日本では航空局がまだ国の航空統括機関としてこうした航空英語に係る能力の評価レベルを格付けするようなノウハウ(??)が体制的にも充分とはいえないため、「航空英語能力証明」の単一資格として、まずは学科・実技試験に合格、資格取得後「3年間有効」ということでスタートしました。 すなわち日本の航空従事者資格としては珍しく、現時点では更新が必要です。(アメリカなどでは例えば操縦教育証明について2年毎のライセンス更新が求められています。)

尚、現在この資格の取得、及び更新には、学科・実技試験共で6万円近い受験料が必要ですが、資格を更新する際は、前回の資格(証明)の交付から3年以内に実技試験を受験する場合に限って学科試験が免除、すなわち新規受験の場合と比べて約半額で更新できることになります。


次に、この「航空英語能力証明」の資格を海外で取得した場合の「学科・実技試験免除」に係る規定についてのご説明です。

確かに「航空従事者技能証明に関する事務処理要領」にははっきり「免除(書き替え可)」と書かれてありますので、安心しておられる海外取得組の方も多いでしょうが、結論的に、英語圏・非英語圏のいずれの国で「操縦士」関連資格を取得なさったとしても、当事国でICAOの規定に準拠する「航空英語能力証明」の資格の認定にかかる試験が別途実施され、これに合格しているものでない限り、学科・実技試験とも一切「免除」にはなりません。

例えばFAAでは、操縦士のライセンス交付に際し、実質的に「航空英語能力証明」に相当する意味をもつ"English Proficient"※注1 という裏書きをそのライセンスに付しますが、これについては、航空英語にかかる能力の判定目的でもって何らかの試験を改めて実施している、ということではないため、FAAからJCABへの「操縦士」関連資格の書き替え手続きに加え、「航空英語能力証明」の資格として、これを"並行的"に書き替えることは、現行受け入れられていません。

この「航空英語能力証明」に相当する資格試験を(ICAOの規定に準拠して)実施し、JCABが書き替え申請を受理する可能性があるのは、今のところ、オーストラリア(CASA)・ニュージーランド(CAA)・カナダ(CA)・韓国(国土海洋部)の各国政府が交付した「航空英語能力証明」の資格ですが、これらも、当事国で取得した「操縦士」関連資格をそのまま「航空英語能力証明」の資格として"並行的"に書き替えられる、ということではありませんので念のため。

ただ、いずれにせよこの資格は当事国が交付する「操縦士」関連資格でもって、「国際運航」に従事する上で必要とされる"別枠"の資格であって、海外を拠点とする通常の訓練や運航に何らの影響を及ぼすものではなく、したがって前述のとおり、航空留学などとはまったく無関係です。

※注1 FAA飛行試験官(民間委託試験官を含む)が、実技試験に際し、その受験生の英語能力が一定の水準に達し、「国際運航」に従事することができると認定したことの証明


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