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航空留学QandA

Q.アメリカで自家用ライセンスを取得してきましたが「条件(リミテーション:正確にはRestriction=制限)」が付されてしまいました。 日本の資格に書き替えられるでしょうか?

(2005年1月10日更新)
A.FAAのライセンスに付される条件には以下の種類のものがあります。

 1.Not Varid for Flight Requiring the Use of English

いわゆる「イングリッシュリミテーション」と呼ばれるもので、ATCが要求される空域での飛行を禁止される、すなわち事実上アメリカで飛べなくなる、ということです。 家業が農家で農薬散布用の飛行機を持っていて自家所有の農道空港などから離発着するというケースでもない限りそのライセンスは使えません。
但し、FAAのこの規定は「差別撤廃」を主たる目的として97年夏に施行された事実上の規制緩和措置でもって廃止され、現在では英語力が一定のレベルに達しない人には「リミテーション以前に、ライセンスが発行されない」ということとなっています。 イングリッシュリミテーションは一旦付されてしまうとむしろ最初からライセンスを取り直した方がずっと易しいほど日本人練習生にとっては厄介な問題でした。 その意味においてこの規定が廃止されたということはむしろ朗報であるといえます。 しかしながら、この措置以前に発行されたライセンスで既にこうした条件が付されてしまっている場合には、それをはずすために、FAAのFSDO(Flight Standards District Office…JCABでいえば地方航空局の「検査乗員係」にあたる)という機関へ出向き、面接・口述試験を受ける必要があります。 この試験は日常英会話、ATCなどの録音テープのヒアリング、マニュアルや法規集を読み上げてそれを自分自身のことばで説明する、などの内容(FAA担当官の裁量による)から成り、合格するのはけっして容易なことではありません。 この条件がついたまま日本でライセンスの書き替えを行うには、学科試験、及び実地試験を一からやり直すことになり、特にその実技試験の内容は、規定上では「通常の実技試験の一部で、航空管制官との通信連絡を含めた航法を主体とするタスク」ということになってはいるのですが、それは実質的に「全部やり直し」と見た方がいいでしょう。 やはり最初から「英語は避けて通れない」と認識してかかるべきです。

 2.Night Flying Prohibited

これは「夜間飛行禁止」の意味ですが、アメリカでは夜間飛行に係る実技試験の受験資格が日本のものよりも厳格、かつ具体的になっていて、「夜間の飛行経験として、総飛行距離が100Nマイル以上となる野外飛行1回以上、並びに10回以上の離着陸(タッチ・アンド・ゴーは不可。空港における、各1回ごとに場周飛行を伴っているものであること)を含む、3時間以上の同乗教育飛行」が要求されているのに対し、日本でのそれは、離着陸、及び航法を含む夜間飛行経験であればよいとされています。 要は「経験」だけの問題ですから、この場合は海外で追加トレーニングを受けるか、または日本で操縦練習許可書を申請し、操縦教育証明を保持した教官から夜間飛行の同乗教育を受ければOKということになります。

 3.Not Valid for Agricultural Aircraft Operation

これは「農業に係る飛行の禁止」の意味ですが、日本ではこの件に関する条件規定がないので書き替え手続き上の支障にはなりません。

 4.Not Varid for the Carriage of Persons or Property for Compensation or Hire or for Agricultural Operations

これは「報酬を受けたり雇用を受けて、人または物の輸送、あるいは農業に係る飛行を行うことを禁止する」という意味ですが、これはFAAの事業用操縦士に対し、その業務範囲を制限する目的でもって付される条件であって、日本の規定には該当するものがなく、したがって書き替え手続き上の支障にはなりません。

 5.Aero Tow Only または、Ground Tow Only

これはグライダーの曳航方式において付される条件(飛行機曳航のみ、またはウィンチ・自動車曳航のみ)です。 日本では曳航方式に関する条件規定を設けていないので書き替え手続き上の支障にはなりません。


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