日/米の航空身体検査一般基準の主要部分を中心に比較・考察しました。
但し、内容は適宜改訂されていることがあります。
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日/米 航空身体検査基準(抜粋) 比較一覧

■航空身体検査証明書(Medical Certificate)の種別と有効期限

●日本

技能証明 運航の態様 年齢 有効期間
定期運送用操縦士 A:以下のB、またはCに該当しない場合 年齢関係なし 1年
B:旅客を運送する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで、一人の操縦者でその操縦を行う場合 40歳未満 1年
40歳以上 6月
C:航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んでその操縦を行う場合(上段のBを除く) 60歳未満 1年
60歳以上 6月
事業用操縦士 A:以下のB、またはCに該当しない場合 年齢関係なし 1年
B:旅客を運送する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで、一人の操縦者でその操縦を行う場合 40歳未満 1年
40歳以上 6月
C:航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んでその操縦を行う場合(上段のBを除く) 60歳未満 1年
60歳以上 6月
自家用操縦士 A:自家用操縦士で認められているすべての運航の態様 40歳未満 5年、または42歳の誕生日の前日までの期間のうちいずれか短い期間
40歳以上
50歳未満
2年、または51歳の誕生日の前日までの期間のうちいずれか短い期間
50歳以上 1年
准定期運送用操縦士 A:以下のBに該当しない場合 年齢関係なし 1年
B:航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んでその操縦を行う場合 60歳未満 1年
60歳以上 6月


○心身の状態から、必要と認める場合には、上記有効期間を短縮できる規定を設定。なお、有効期間の短縮は、原則として国土交通大臣が行い、指定医は国土交通大臣の指示に基づき短縮する。

○「年齢」とは、航空身体検査証明の起算日(=交付日)における年齢とする。

○航空身体検査証明の有効期間満了日の45日前から当該期間が満了する日までの間に新たに航空身体検査証明書を交付する場合は、新たな航空身体検査証明書の交付日から、従前の航空身体検査証明の有効期間の満了日の翌日より起算して改正後の有効期間を経過するまでの期間とする。(※すなわち最大で45日まで繰り上げ検査が可能で、その場合も、引き続き従前の証明書の有効期限が適用される、という意味。)

○身体検査基準については、新設の准定期運送用操縦士は第一種身体検査基準が適用される。また、一等航空士及び航空機関士は、第二種身体検査基準が適用されることとなった。
その他は、現行どおり。(定期運送用操縦士及び事業用操縦士は、第一種身体検査基準適用。自家用操縦士は第二種身体検査基準適用。)

 

●アメリカ

  • 第1種(1st class)…定期運送用操縦士対象で40歳以上が6ヶ月間、40歳未満が1年間有効

  • 第2種(2nd class)…事業用操縦士対象で1年間有効

  • 第3種(3rd class)…自家用操縦士対象で40歳以上が2年間、40歳未満が5年間有効

    ※但し、上記いずれの証明書でも自家用運航目的であれば第3種扱いとしての期限まで有効扱い。
※操縦練習許可書(Student Pilot Certificate)の有効期間は2年間(単独飛行時にのみ要求され、同乗教育の場合は不要)

※アメリカでは通常「カレンダー月」というのを使用し、例えば「1年間有効」とする場合は1年後に来る「同じ月」の「月末」まで有効とされます。 例えば2000年1月1日に取得した第2種(2nd class)航空身体検査証明書はすなわち翌年の2001年1月31日まで有効(1年間有効の年齢に該当する場合)ということになるのに対し、日本ではこれと同じ条件を想定した場合、2000年の12月31日までが有効ということになります。(但し、アメリカでは検査の受検月(「日」ではない!!)が基準となるのに対し、日本では証明書の交付日が基準となります。)

日本 アメリカ
種別 事業用操縦士 自家用操縦士 First-class Second-class Third-class
遠見視力 各眼が裸眼で0.7以上及び両眼で1.0以上。 但し、各眼について、各レンズの屈折度が(±)8ジオプトリーを超えない範囲の常用眼鏡により0.7以上、かつ、両眼で1.0以上に矯正することができること 各眼が裸眼で0.7以上。 但し、各眼について、各レンズの屈折度が(±)8ジオプトリーを超えない範囲の常用眼鏡により0.7以上に矯正することができること 各眼20/20以上
矯正可、裸眼基準なし、レンズ屈折度に制限なし)
各眼20/40以上
(矯正可、裸眼基準なし、レンズ屈折度に制限なし)
近見視力 裸眼又は自己の矯正眼鏡の使用により各眼が30cmから50cmまでの間の任意の視距離で近見視力表(30cm視力用)の0.5以上の視標を判読できること 16インチの距離で測定し、各眼20/40以上(矯正可)
中距離視力 裸眼又は自己の矯正眼鏡の使用により各眼が80cmの視距離で、近見視力表(30cm視力用)により0.2以上の視標を判読できること 規定なし 50歳以上で実施、32インチの距離で測定し、各眼20/40以上(矯正可) 規定なし
色覚 航空業務に支障を来すおそれのある色覚の異常がないこと 航空業務に必要な色が識別できること
(色覚が基準に抵触する場合は、夜間飛行、Color Signal Control による飛行禁止の制限付きで合格となる)
視野 航空業務に支障を来すおそれのある視野の異常がないこと 正常な視野を有すること 病的な状態でないこと
両眼視機能 航空業務に支障を来すおそれのある両眼視機能の異常がないこと 規定なし 正常な視野を有すること
(内斜位6プリズムジオプトリー、外斜位6プリズムジオプトリー、上斜位1プリズムジオプトリー以内深視力検査、ふくそう検査なし)
規定なし
夜間視力 規定なし 規定なし
屈折矯正手術
の既往歴
不可。但し、屈折矯正手術の既往歴があり、屈折矯正手術後6ヶ月以上を経過し症状が安定し、視機能が基準を満たしている者が、国土交通大臣の判定を受けようとする場合は、手術記録を含む臨床経過のほか、検査結果を付して申請すること 規定なし。但し術後の経過をみて検査機関が判断し、エアラインなどでは認められないこともある。
聴力 各耳において下記を超える聴力低下がないこと
500Hz, 1,000Hz, 2,000Hz:35dB
3,000Hz:50dB
・各耳において下記を超える聴力低下がないこと
500Hz, 1,000Hz, 2,000Hz:45dB
または
・一方の耳において下記を超える聴力低下がないこと
500Hz, 1,000Hz, 2,000Hz:30dB
または
・後方2m、両耳で会話の聴取ができること
下記の聴力検査基準を少なくとも1つ満たすこと
・6feet の距離、後向きで両耳を使って通常の会話が聞き取れること
または
・語音聴力検査にて片耳で70% 以上聞き取れること
または
・鈍音聴力検査にて下記の基準より悪くないこと
良い方の耳(500Hz:35dB、 1,000Hz, 2,000Hz, 3,000Hz:30dB)
悪い方の耳(500Hz:35dB、 1,000Hz, 2,000Hz:50dB、 3,000Hz:60dB)
血圧 160/95mmHg 未満 155/95mmHg 以下
心電図 心電図検査は、初回の航空身体検査時及び30歳に達した後の最初の航空身体検査時に実施し、その後40歳に達するまでの間は、前回の検査から2年に1回の間隔で実施し、40歳に達した後は、前回の検査から1年に1回の間隔で実施すること 心電図は35歳、及び40歳以降1年毎に実施 心電図は実施しない
脳波検査 脳波検査は、初回の航空身体検査時、航空事故又は他の事故等により頭部に衝撃を受けた後の最初の航空身体検査時及びその他診断上必要と認められた場合に実施する 規定なし


■各国(航空当局)毎の航空身体検査の種別と基準内容の詳細
※「マニュアル」と示してあるのは各国の検査機関側が検査の合否に係る「判断要件」として使用している詳しいマニュアル資料です。

JCAB(日本航空局:マニュアル)

FAA(アメリカ連邦航空法 CFR-14 PART-67:Medical Standards and Certification)
 マニュアル(Pilot Medical Solutions, Inc.のサイト)

EASA(欧州航空安全機関)
 マニュアル

CASA(豪州民間航空安全公団)
 Q&A

CA(カナダ民間航空公団)
 マニュアル



   
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